2025/08/05 10:00

ザワザワ、ワサワサ、ギラギラ、ジメジメ、ピーボー、ピーポー、
ザァザァ、ゴォゴォ、ヒューヒュー、国の舵取りはヒソヒソ、のニッポンの夏。
酷い暑さはもちろんのこと、近くて遠い異国に感じていた半島で起きた大地震による津波や、
太平洋のど真ん中で発生する台風の雨風に世界はどこかで繋がっていて、
互いに影響を及ぼしていると感じる、モヤモヤして落ち着かないままに8月を迎えた。
毎年のことで、もう40年も過ぎる御巣鷹山日航ジャンボ機墜落事故を目の当たりした8月12日。
戦後80年を迎える、8月6日の広島、8月9日の長崎への原爆投下は、
戦争を終わらせるために、という名目のもとで実行されたこの事実を、
米国内では今でも正論として通っていて支持されている記念日の両日。
終戦の玉音放送が流れた8月15日は生まれてこのかたずっと、刻まれている記念日。
記念日という表現がどうもしっくりこない、この戦争関連の忘れてはいけない日。
地域によって異なるけれど、8月13日の迎え盆、8月16日の送り盆の先祖供養の間は、
独特の気配に包まれていて、言葉にするとザワワ、ザワワで、
風もないのに森や街路樹が揺れ、実家の庭木が揺れていたことも思い出す。
とにかく暑い暑い夏になりそうな気配に包まれながら
なんとか、8月が始まった。
かつては太陽の光と熱を感じながら町を歩くことが好きで、夏に強くて、
かえって好きだったことを思い出しはするものの、今となってはそうもいかない。
先日は人生初の熱中症を経験したから特に、町を歩く時はソロリソロリ、
毎年恒例のサンダル、ギョサンではペタリペタリと歩き、すでに親指の付け根からくっきりと、
「へ」の字の形についた日焼け跡を少しうれしく眺めてみたりしている。
気象の専門家に言わせると、この気温や暑い期間が当たり前になってくると予想されるから、
気温も40℃を超える日が増えてくるかもしれない、とのことだったし、
先日話をした船乗りの男性曰く、黒潮海流が変わってきているから、
風の流れや海水温が以前とは全く違ってきているし、それを実際に海上で感じる、と。
実際にもう40℃超えの報道を数多く聞くし、先日の台風も今までにない方向に運ばれていた。
昔懐かしい、徒然草でも夏は夕暮れと詠っていた、心地好い夕立などというものは
今後なくなるのたろうし、スコールという言葉しか見当たらない雨風が吹き荒れる、と思う。
実際の気象予報のなかで使われている平年比は過去30年分の情報を基にしたものだから、
+2℃、3℃と言われて、そんなに高くないと勘違いしてしまうけれど、
年々上がる気温に対しているから当然、暑くなるその気温表示が30℃を超えていないと、
あれ?今日は涼しい?と思ってしまう自分がいたりするから、
順応して馴化しいるのか鈍化しているのかがわからないことになってくる。
気温の表現にしても、25℃が夏日、30℃が真夏日、35℃が猛暑日となっているのが、
そのうち繰り上げられて、30℃が夏日、35℃が真夏日、そしてそして、
初登場の40℃が猛暑日、ということになる日が近いうちにくるかもしれない、などと、
とにもかくにも、気をつけながら生活しなきゃ、と心していると、
広い地域の水源となるダムの貯水率が0%という報道に、国内外問わず、
恐怖を覚える雨が降る地域があったり、降らずに渇き切ってしまう地域があったりと、
なんとも、やっぱりザワザワすることばかりが多いこの時期は、
そのうち日中には町行く人がいなくなる、なんてこともあるのかな、と思ったりする。
そんなこんなで始まった8月、今年も残すところ5か月の後半に入り、
前半戦と後半戦の間、大相撲でいうところの中日のような存在の8月なんだなあ…、
そんなことをボヤボヤ考えながら、ザワザワ、ワサワサするなかでも楽しみがある。
子供の頃からずっと、変わることなくワクワクする全国高校野球選手権、夏の甲子園。
自分にとっての甲子園は、小学6年生(だったと記憶している)の頃の、
和歌山県代表箕島高校と石川県代表星稜高校の延長18回の死闘。
確か、1対1のまま9回を終えて延長戦に入り、取っては取られの攻防で18回まで続き、
最後は4対3で箕島高校が勝利して、その勢いのままに優勝したあの熱戦は、
初めは、体育座りで観ていたけれど、ナイター照明が付く頃には正座をして、
まさに手に汗握って観ていたことを覚えているし、ますます野球が好きになったし、
もっと上手になりたくて、翌日から素振りを始めたことも覚えている。(長続きしなかったことも…)
続いては、荒木大輔フィーバーの大会で夏春連覇で3季連続を目指していた、
徳島県代表池田高校が打って打って打ちまくる、やまびこ打線とエース水野の投手力で、
順調に勝ち進んでいくなかで迎えた準決勝で対戦した、まだ有名ではなく、
優勝候補にもなっていなかった大阪代表PL学園高校が、ほぼ同い年の1年生、
桑田と清原が躍動して、当たり前のように勝つと思われていた池田高校を下したあの試合と、
その後のPL学園のKKコンビの活躍している姿に、中学時代で諦めた野球をまたやりたいと強く思わせた夏の甲子園だった。
あれから時が流れ時代が変わり、ルールも変わって野球そのものが変わり、
今は違った熱戦になっているし、目指すところも日本のプロ野球から
米国メジャーリーグが現実的になってきているから本当に変わったなー、
そう思うけれど、歓声と悲鳴が入り交じったワーワー、キャーキャーと、
金属バットのキンッ、という音は変わらないし、今でも楽しみに観戦している。
それにしても、この暑さのなかでの試合で大きな事故がないようにしてもらいたい、
そう心から思っているし、開催運営する側でも充分に検討してもらいたいと思う。
中学生の頃、前日に観たテレビ朝日の熱闘甲子園の番組に影響されて、
練習なのに、わざと一歩遅らせてスライディングキャッチしたり、
ヘッドスライディングをしたりしていたあの夏がひどく懐かしい。
いずれにしても、ワーワー、キャーキャーと歓声が響く8月であったらうれしい。
まあ、でも騒ぎ過ぎはイヤなので、ホドホドに、
暑さも雨も風もホドホドに…。
令和七年 何だか落ち着かない8月の始まりに
栗岩稔