2025/01/07 10:00

年が明けて何か使命のような役割を果たす目指す一年になると思っている。
ただ普段と変わらない心持ちで良い緊張感を保ったままで年が明けたように思う。
若干、年中行事故の食べ過ぎ、飲み過ぎ感はあるけれど元気にしている。
巳年の今年も、もちろん歳を重ねる。
いい歳なんだから脱皮する皮も乾ききって残っていないだろうし、
絶対に剥けない面の皮は厚くなる一方だろうと思うけれど、
もう一皮剥けたら良いのにな、と自身の器の小ささも実感している。
そんなことを考えながらも、慌ただしく過ぎる三ヶ日の最中、
義務のような帰省からの帰京の新幹線車内で小さいな自分、
まだまだだな自分、そんな風に思うことがあった。
年始らしく地元の駅からもたくさんの乗客が乗り込んだ新幹線あさま号。
いつものように三列席の通路側にとった指定席に座ると他と違って隣は空席。
まずないだろうけれど、空いたままだったら幸いと考えたり、
東京までの一時間半が楽にいられる「二人」なら良いのにとか考えてみたり、
ずいぶんと自分勝手に考えながらも日本中から観光客が集まる町、
残り二十分ほどで到着する駅から「二人」が乗り込み座るだろうと思っていた。
ただ、車内温度の心地好さに、昼に義兄と飲んだ酒が回ってきながらも、
まだもう少し眠りこけてはいけないと我慢している自分も可笑しかった。
あっという間に到着した駅からガヤガヤと乗り込んでくるたくさんの乗客。
そのなかで、傍らに立った小さな女の子の手を引いた父親と荷物を抱えた母親。
混雑のなかに席を立ち窓際から二つの席に座った、まさかの「三人」
乗車券不要の年齢の女の子と親子とともに、残り一時間ほどの旅がはじまった。
自分勝手で自己中心的なことを考えていた自分を恥じながら、身をよじる。
そうすれば少しでも二人席に三人座るためのゆとりが出来るかも、と。
出来る限り通路側に身を寄せたところで乗客が行き交う通路の邪魔にもなる。
酔いがまわって眠くなっていたことなど吹き飛ぶその姿勢で何かを待つ。
すると、通路を挟み静かに座る若い女性が降りる準備をはじめ、
群馬県最初の大きな駅で降りた席が空き絶好のチャンスが訪れる。
けれど、次に控える埼玉県の大きなターミナル駅では誰かが座るかもしれない。
しかも、窓際に座る別の若い女性には気持ち悪いだろうか、とか。
諸々の言い訳のような理由をつけて、移動すれば良いのに動けない自分が身をよじる。
実際に停車したところで誰も来ない。けれど移動出来ない。
そんな自分が心底情けない。
かつての東京の北の玄関口の駅に停車してたくさんの乗客が降りる。
斜め後ろの席が二席空き、迷わず、勢いをつけて移動する。
三人席に座る「三人」がゆったり座り、父親が荷物に挟まれた足を伸ばす。
母親は次に降りるために荷物整理をしながら眠り込んでいた子供を起こす。
五分だけしか譲れなかった席をあとに洗面所に行くふりをして席を立つ。
洗面所には入らず、降り口側のガラス越しに東京を眺める背後から声が聞こえる。
「駅に着いたらお父さん、走るからな」「うん!」
その言葉にお父さんが開扉ダッシュ出来るように一番前に順番を譲る。
「どちらまで、ですか?」
「成田エクスプレスなんですよ。」
「あー、反対側だから大変ですね。到着が遅れたし、駅は混んでるし。」
「ギリギリのチケットをとったからいけないんですけどね…。」
「まあ、いずれにしても気をつけて。」
という間に扉が開いて走り出す父親に抱かれながら必死にしがみつく男の子。
その姿につい、「がんばってお父さん!いってらっしゃい!」と言っていた。
大混雑の新幹線ホーム上の雑踏で届いたかどうか、聞こえたどうかはいざ知らず、
振り返ることなく走る父親の背中越しに子供が手を振っていた、
歩き出しながら何気なく後ろを見ると、隣に座っていたあの父親が会釈していた。
少しだけモヤモした気持ちがすっきりしながら早足で混雑をすり抜けて、
焦ることなく進んだ山手線ホームで帰ってきたことに安心している自分に気づいた。
いつの頃からか嫌いでなくなっていた東京の灯りと雑踏が心地好かった。
帰宅後、まあまあな良い一日だったことに自分を甘やかし、
ご褒美代わりの500mlの缶ビールをお気に入りのコップに注いだ。
その日限りの多めのビールと上手に注げた泡がほろ苦く美味しくいただいた。
また始まる事実を受け止め、期待と不安と緊張の良い夜で三ヶ日を終えた。
令和七年 もうすでに松の内を終える小寒に
栗岩稔
追伸、もう七草粥ですね。歳を取るとお粥の有り難みが五臓六腑に染み渡りますよ、ホント。