2024/10/15 10:00
サムライの時代が終わりに向かう江戸で武士たちが反乱、革命を起こして中央政府を作り、
都が東の京、東京になった明治の維新と言われた激動の時から100年後に生まれた。
新政府の指南役として雇われた外国人などが住み、治外法権であったであろう旧居留地に暮らし、
劇的に華々しく変貌を遂げて江戸の名残を消した銀座という地域で仕事をしている。
今では日本人に限らず、たくさんの外国人が仕事を持って生活を共にし、
国内外問わずたくさんの観光客も訪れて、潤い、華やぎ、賑わっている。
その華やいだ街を一瞬にして廃墟にした大震災から100年後に100周年を迎える、
銀座といえばという存在で、戦時中は外国人専用だった百貨店でも仕事をさせてもらった。
かつては別の町名だった銀座の端っこから、ど真ん中の銀座でたくさんの人に向けて、
ごの酒場を知ってもらうことが少しでも出来たとしたなら、こんなにうれしいことはない。
本番を迎える来年100周年記念でも関わることが出来るのならば、
個人的には銀座で20年お世話になっていることの区切りとケジメともなる。
それもまた、うれしく、ありがたい。
今週から2年目を迎える、まだ生まれたばかりの酒場にも海外からの観光客が訪れてくれる。
片言の英語と動作でしかコミュニケーションがとれないものの、
皆が口を揃えて、日本は素晴らしいと言っていることは理解出来る。
確かに、美しい国だと思う。いつかの首相が掲げた美しい国ニッポンだとは思うけれど、
一歩路地裏に入れば、ゴミやタバコの吸い殻が投げ捨ててあったり、
前も見ずに手元の機器に支配されて歩き、周囲に意識を持たない姿に、
街に愛情が持てない国になってしまったようにも感じているこの頃、
表層的な部分だけ見えている観光客には素晴らしく見えるのかもしれないと思いつつ、
この国の滞在中に体感したニッポンが良い記憶に残ればそれで良いと思う。
より良いものになればと願う限られた予定のなかの貴重な時間を割いてまで、
この酒場を訪れてくれた事がありがたいと思うし、良い記憶を持ち帰ってもらいたく、
脳ミソをフル活用しながら、精一杯の仕事、それが出来ている、と思っている。
足りない部分ももちろんあるだろうから、彼らが帰った時にどう感じたのかわからないけれど、
このところ特に増えた異国の地からの訪問客に相対している。
言葉が通じなくても国内外問わず仕事が出来て、それ自体が世界共通言語、
コミュニケーションツールとして通用するはずだからと始めたこの仕事、
今になってそれを実感し体感し、痛感していることもある。
そんなこの酒場の2年目を迎える時に、自身56年目を迎える。
そこを敢えて狙ったわけではないけれど、この酒場の歴史がはじまった日と、
自身の新たな年のはじまりが重なったことにも何かしらの縁、宿命を感じている。
この先どうなっていくのかはわからないけれど、惰性からくる退化をすることなく、
日々精進して少しずつでも進化しながら、変わらずそこにある酒場を目指したい。
そのためにも衰えが見え隠れする自分自身は、内面と真正面双方と対峙して、
訪れた人々の時間を大切に預り、その人と酒と酒場に向き合っていきたいと考えている。
まだまだ、だから死ぬまで勉強、そう考えている。
かんなさん、ゆうたさん、いつもありがとうございます。
私をチームに入れてくださったこと、心から感謝しています。
まだまだ足りない(そんな年齢でもないですが…)ことがたくさんあり、
いろいろとご迷惑をおかけしますが、これからもお世話になります。
酒場の誕生日には3人が揃うことは叶いませんでしたが今月中どこかで、
2本のビールを3人で分けあって乾杯しましょう。
1年目のおわりと2年目のはじまりを祝して。
あ、それと3人ともに10月生まれだから、それも、ですね。
とにもかくにも何よりも、ごの酒場で出会ったみなさまと、
これまで長らく、飽きずにお付き合いいただいているみなさま、
心からありがとうございます。
すべてのみなさまに乾杯、Cheers!
いやいや、ホント、ありがとうございます。
令和六年 美しい季節に新たな一年のはじまりを迎えた酒場にて
東京都中央区銀座1丁目21-12 BLUE BOXビル2階
BAR SOSU/ 酒番 栗岩稔