2024/02/27 10:00


明後日は2月29日

「あたしさー、4年にひとつずつしか年取らないのー。」
そう言っていた人を思い出す。
もちろん、そんなことはあるわけもなく、
唯一平等な人間の時間は同じように進むので、悪しからず…。
当たり前のように、それ自体を忘れるぐらいに定着して、
4年に一度修正するんでしょ、ぐらいに考えていた。

実際に、太陽暦と世界的に取り入れられているグレゴリオ暦、
双方のずれを修正するために導入されたもの。
それは、西暦が4で割り切れる年はうるう年で、
100で割り切れると平年で、400で割り切れるとうるう年。
ちなみに、2100年は100で割り切れるけれど、
400で割り切れないので平年、だそうで。
何とも気の遠くなるような年と数の話しだなあ、と。
そもそも、これを考えて計算して導きだしたのはいつ?
そう思ったので、調べてみた。

なんと!導入されたのは紀元前45年!
かのユリウス・カエサルが戦略的、政治的に効果があって、
生じていた季節感のずれを修正するために決めたとのこと。
現代のグレゴリオ暦にも通用されているローマ暦、
今のように計算機もコンピューターも何もない時代に、
太陽と月の関係から割り出された、その計算力とその頭脳、
そして観察眼も併せ持った当時の人間力は計り知れず、
かえって、何も頼るものがない時代だからこそ、
その人間力が存分に発揮されたんだろうな、と。

我が国では、1872年(明治5年)11月9日に
西洋化を推し進める政府が、太陰太陽暦を止めて、
12月3日を新暦の1873年(明治6年)の1月1日にすると発表。
書いているだけで混乱してくるその日程。
施行猶予期間が約1か月、本来ならば新年まて約2か月あるはずが、
いきなり新年にします、それには1か月弱です、って…。
江戸から明治になったばかりの激動の新しい日本で、
伝統の習慣が残る国民は大混乱だったんだろうなと。

ローマ帝国にしろ明治日本にしろ、
日常的に使っていた暦、それに根付いた生活習慣や祭事が、
上からのひと声ですべてがあっという間に一変することを
想像してはみるものの到底計り知れず…。

今では当たり前に使われている2月29日が、
太陽と月と人間が複雑に絡み合った日なんだと実感する。

ちなみに、太陽暦で計算した1年は365.2425日で、
グレゴリオ暦だと365.2422日、その差は0.0003日。
このずれが微妙に人間社会に影響するんでしょうかね。
ほんの僅かでも積もり積もって大きな差になるんですね、きっと。
まあ、唯一平等な時間軸に無理矢理あわせようとするだけで、
ずれが生じますからね、人間は…。

そういえば、うるう年はオリンピック開催でしたね。
今年はパリですが、なんだかそんな気分にならないような…。
前回は確か、東京でしたね。2020が2021で開催、でしたかね。
そんなこともありましたね、そういえば、と感じるぐらいに、
欠落しているかのような、あの3年間。
でも、時間は流れているし、太陽は今のところそこにあるし、
地球は月と共に回っているし、その月に行こうとする人間がいるし、
まあ、やっぱり計り知れませんね、特に人間は…。

令和六年うるう年 2月29日を前に
栗岩稔