2023/09/13 10:00
栗岩稔と人間学第八回
「愛したことや愛していることってありますか?」
残暑厳しい中、突然の雨にも降られながらもお越しいただいたみなさんは、
○ITコンサルティング企業で日々スキルアップをしながら自己を確立している YUさん
○都内小学校担当教諭として子供に向き合いながら表現者でもあるCUさん
○世界に繋がる港で世界の人を迎える仕事に愛を持って取り組む Iさん
○大好きな建築を生業に設計そのものに愛情を持って人に向き合うSさん
○ITベンチャー企業で仕事を愛しながらも自分の愛については迷い多きFさん
○編集者のTさん
○恋愛については語る資格がないと痛感している栗岩(以下 栗)
◎愛ってなんだと思いますか?
栗: みなさん、こんにちは。突然の雨にもありがとうございます。栗岩稔と人間学、第八回は愛についてですが。
YU: 重たい言葉ですよね。
栗: 最近、町に愛が足りないなって思うことがあって。他人同士だからって挨拶がなかったり、ぶつかっても知らん顔だったり。人間だけでなくて、前回Uさんが話してくれたミミズを土に帰す話のように、そばにある自然への愛も薄くなっていると感じていて。そんなことも含めて愛について話しができればと、テーマを考えました。ちなみに、愛という概念について調べてみたんですよ。国や宗教の違いがあるから難しいですけど。漢の時代の中国、春秋戦国時代に諸子百家と言われたうちのひとり、墨子が同時代に活躍していた孔子が唱えた身分制に対して、人は平等であり、誰もが天の臣であり、天の本質は愛であると唱えていて。天に見習って公平無私に愛さなければならないと。この中の天という解釈が難しいけど。
YU: 天というのは、昔の中国では神は皇帝だったんですけど、それをやめて象徴的なものに人民を従わせるようにしたことがあって。信仰や尊敬の念が皇帝に向きすぎないようにした時があるんですよ。だから、天という概念が生まれてきたんですね。天地の前に人は平等というような思想ですね。
栗: なるほど。愛という漢字についても調べてみたんですよ、知らなかったから。愛は上下三つの部位に別れていて、心が付いた上の部分は胸が一杯になっている様子で、下の部分は、足を引きずって歩く様子を表しているんですって。だから愛という字は、胸がいっぱいで足取り重く今にも立ち止まってしまいそうな様子を表すんだそうですよ。別の解釈では、上の部位は人間が後ろを向く姿、心は心、下は人間の足を表していていて、人間がゆっくり歩きながら後ろを振り返ろうとする様子を表しているんですって。どちらも、ネガティブというかまさに後ろ向きな印象だけどね。
ちなみに恋という字、これは旧字の戀の解釈で、もつれた糸を解くことが出来ない様子だそうで。だから、恋は欲求で愛は感情、結婚になると文明だなって。文明という考えかたは、国家の法の下で成立したものという意味で、ですけど。
YU: 愛は重くて恋は軽いけど、くっつくと恋愛になって、ハートやビンク色が見えてくる感じですね。
栗: ホントそうだよね。もつれていた恋心を解きほぐしていくのが愛なんじゃないのかな。愛憎ともいうけど、あれも紙一重だなって思うし。愛と憎しみは一緒なんじゃないかなって。
S: 私もそれを考えていて…。愛に対する言葉って憎しみじゃないですか。恋だと失恋で失うだけだなって。
栗: 愛は感情から沸き上がってくるもので、恋とは違って。だから愛と憎しみはイコールだなって。人を憎むってことは、それだけ相手を見ていないと沸き上がってこない感情じゃないのかなって。
YU: 人に期待し過ぎると、ですね。
F: そうですよね。
YU: 殺人事件になったりもするし。
栗: 愛を超えて、もう犯罪だからね、愛し過ぎて殺しちゃうとかって、わかんないけど。
この前ね、久しぶりに谷崎潤一郎の「痴人の愛」を読んだんだけど。好きになり過ぎて自己崩壊していく男の話。許されざる愛っていうかね。許す許さないは国家や世間体に対してだけど、あれはあれで、愛のカタチなのかな、なんて。
◎愛のカタチ
F: 話しが変わっちゃいますけど。ホストの話なんですけどね。
最近ホストクラブに通う女性が増えているって報道を見て。ブームというか。あれも愛なのかなって。
栗: 女性たちはホストに貢ぐんでしょ、よく知らないけど。
F: ホストのなかでも成績があって、その人をトップにするためにも応援するらしいですよ。推しメン、みたいな。お店に入らずにお金だけを渡していく女の人がいたりとか。
一同: えーっ!
栗: 愛がどうかは解らないけど見返りは求めていないんだよね?
S: 今どきの推し活と同じってこと?
F: そうですね。でも、それって何なんかなって。
CU: 私なんかはかえって、ハマったりしたら大変なことになりそう。
栗: 全く想像出来ないんだけど。
CU: 推しって、愛のカタチなのかな、何になるんだろう。
栗: 先週かな、生成AIでコミュニケーションしていた男が奥さんを殺した事件があったんですよ。
そのAIの女性(?)イライザに悩みを打ち明けたり相談したりしてたら、だんだんと恋しちゃって。挙げ句の果てに奥さんを殺しちゃったんですって。
CU: AIをカウンセラー的に使っていた人が自殺した話もあったな。
YU: 余裕がなくなってきてるからなんですかね。経済的にも停滞しているし。
僕は自分を最上位に置いて、気を回すにしても、まずそこからなんですよ。
結構そうじゃない人が多いのかなって思うし。自分を確立しているかどうかって、顧みないとダメですよね。
栗: 確かに自分を愛せないと人を愛せないからね。
YU: 自分を愛してはいますけど、人を愛しているかどうかは怪しいですけど、今のところ…。相手の立場になって考えようとか、人の気持ちを考えようって言うじゃないですか。あれって、わからないですよね。学校ではどうなんですか?
CU: 学校では昔から言ってることですよね、指導要綱として。ここ10年ぐらいには、
自分の気持ちを相手に言葉で伝えようみたいになってきているかな。
コミュニケーションの指導方針みたいな感じで。そこから会話がはじまります、みたいな。でも言葉にして伝えるって、例えば「私はあなたがイヤ」とか言ってケンカになるんですよ。そしたら相手の子が「あ、そうなんだ、ごめんね」みたいに収まっちゃったりするんですよ。
I: めちゃめちゃ大人なやり取りじゃないですか、大人っていうか、ですけど。
CU: 今のところはそういうことぐらいにしか応用されていない気がしますね。