2023/09/05 10:00
前略、
早いもので、もう九月になりました。
いかがお過ごしですか?
旧暦では長月、元は夜長月と言っていたとか。
昔と今の暦の違いはありますけれど、
まさに、夜が長くなる頃ですね。
昼には形を変えた雲が高くなった空に見られ、
風向きが変わり、その色すら違って見えるこの頃、
台風などの自然の怖さも感じられるなかにも、
様々な変化が見られる美しい季節になりました。
また、この酷い暑さが収まる処暑には
心身の疲れが出る頃でもありますので、
くれぐれもご留意くださいませ。
さて、十月生まれの私としましても
毎年のことのように一年のおわりと新たなはじまりを迎えます。
令和五年の本年もいろいろなことがおわります。
昨夏からお預かりしていた日本橋富沢町での酒番、
今春からお預かりしていた銀座六丁目での酒番、
もう二年近くも語らいの場のように過ごしていた九段坂での酒番、
そして、生まれたはがりの酒場の一年を共にした勝どきでの酒番、
さまざまなな町での酒番を終えようとしています。
人間の営みという流れの中、
どこかで、運命というより定めのようなものを感じております。
この季候ならではの、台風が海水を混ぜ返して海流が変わるように、
自身にも、秋の風が変えているような流れの変化を感じます。
そういえば、お目にかかる遥か前、もう三十年も前のこと、
故郷に帰ることを封じ込めて、
この大きすぎる街に暮らすことを決めたあの頃、
初めて会社勤めをし始めたのも十月でした。
今にして思えば、あの頃の代表をはじめ、上司先輩方から
言われていた言葉の数々が身に染みて感じられ、
その教えが今、身から滲み出しているように感じております。
お礼を伝えたいところではありますが、
ほとんどの方は鬼籍に入られておりまして、
叶うことなく心残りではありますが、
今こうしていられることで感謝の念を表したいと思っております。
そんな私もお陰さまで、五十五という年齢を迎えます。
かねてから、還暦までの五年間を志していたこともあり、
また、新たな役回りをいただけるようでございます。
これまで、趣味と言いますか自身の学びとしてきました民俗学、
人類が生み出した歴史に裏打ちされた現代人の姿や行く末など、
そんなことを好き勝手に学んで身に付けてきた私に、
大変興味を覚えてくださった方々もいらっしゃっいまして、
何かしらの役に立てることが出来そうです。
大変ありがたいことですが、皆さま方に失礼のないように、
さらに学びを深め、町を見て人を見て自身を見てまいります。
ますます、楽しみな日々がもう少しだけ続きますこと、
ひとまずのお知らせとさせていただきます。
十月にはそちらに帰ります。
また、そこにいられるようになることを楽しみに、
励みにしながら日々精進いたします。
最後になりますが、
ここ数年顔も出していませんので写真を同封いたします。
しかしながら顔出しは心苦しく、陰影だけでご容赦くださいませ。
では、長々と失礼いたしました。
またお目にかかる時を心待ちにしております。
草々
令和五年 禾乃登(こくものすなわちみのる)頃に
栗岩稔
追伸、私の名はここから、なんでしょうか。
遅ればせながら、今になって気づきました。