2023/07/11 10:00

長年親しくしていた男性から

久しぶりに連絡があった。

退職をする旨と新しい連絡先を添えていただいた。

外資系酒類販売会社に勤めていた関係で、

路地裏の酒場の営業担当者として関係がはじまった。

しかし、ことあるごとに顔を出してくれていた。

領収書を要する時とそうでない時も割りと頻繁に。

特に、雨の路地裏の景色が好みでカウンターの端に座り、

外を眺めながら旨そうに酒を飲んでいた姿を覚えている。

そして、音楽も自身がバンドを組んでいたこともあって、

音楽に詳しく、店内の音環境もお気に入りで、

好きな曲が流れると、

(とは言っても好みを狙って選曲していたこともあるが…。)

口ずさみながら耳を傾け、グラスを傾けていた。

自身の立場を明解に分けていたこともあって、

普段は特定の酒販会社との関係を

持たないようにしている自分も、

彼との関係は名刺抜きの関係でいられたように思う。

学ぶことも多く、何かと酒に関する相談すらも出来た。

そんな彼が会社を辞めて背負っていた看板を下ろした。

嬉しいことに、個人的な連絡先をいただいたからには、

今後はおじさん同士としての付き合いが深まると思っている。

次の人生でも活躍する人物だと思っているからこそ、

ほぼ同い年の彼にこんなメッセージを送った。

「これから、ですよ。還暦までのラストランは!」 と。


還暦までのラストラン、

最近特にそう考えているし、口にも出している。

長年世話になった街でのラストラン、

何かを誰かに伝え残せるモノ、

そのためのラストラン、そう決めている。

そうは言っても、あと5年、

5年しかなのか、5年もなのか、

それは今のところはわからない。

ただ楽しみな5年であることかには間違いない。

どうなろうとも、どんな結果が出ようとも、

それがないと終れない。

還暦までのラストランを思う存分楽しみたい。


そんなことを意識し始めたのは今年の始め。

その頃から開催してきた

「栗岩稔と人間学」の前半が終わった。

前半6回は、ひとりの若者の社会全体に対する

山のような疑問から、

推敲して組み立てられたテーマを基に様々な年代の

立場も何もかもが違う人々が語り合う良い時間になった。

https://www.kuriiwastyle.com/p/00001


そして後半のテーマを決めた。

生と死、人間の負の感情、人生のこと、これからのこと。

そんなことを参加者の言葉を受け止めながら考えたいと思った。

詳細については改めることとして、以下のようにした。

○生きるとか死ぬとか考えたことってありますか?

○愛したことや愛していることってありますか?

○あなたの中に芽生える嫉妬の心ってどんなことですか?

○自分に嘘をついたことってありますよね?

○人生の設計図って書いていますか?

○誰かに伝えませんか? あなたの伝えたいことを。

これは講義でも何でもなくて

参加者の声を吐露していただきたき、

見栄や恥や外聞は抜きにして全てをさらけ出していただきたく、

そんな時間に出来たらこの上なく嬉しいことだと思う。


このテーマを決めるために思考の深淵を彷徨っている時、

彼から連絡があった。

数分間の言葉のやり取りを終えた時に心を決めた。


月に一度の語らいの時間を糧に

残り5年の1年目を楽しみたい。


なので、面倒臭いおじさんとか言わずに、

もう少しだけ、お付き合いいただけたら幸いかと。


令和五年 

梅雨明けにはトレーニングを始めようとしている真夏に

栗岩稔