2023/06/13 10:00

お世話になって

三回目の夏を迎えたWAH! radio

https://wahradio.org/

だいぶ間が空いてしまったものの、

「酒場でラジオ」の

本格的なシリーズが始まる。 

前回まではプロローグとして

私が私のこれまでを語った。

https://wahradio.org/minoru-kuriiwa/

 

今回からは私が話を聞きたい人に

話を聞くシリーズになる。 

その記念すべき第一回は、

この春から週末に一日だけ、 

その大切なカウンターを

預からせていただいている酒場、

https://bargoya-ginza.com/

銀座のど真ん中で店を構えて

五年が過ぎた店主に話を聞いた。 

歳も違い、経歴も違い、経験も違い、

接点すらなかった。 

THE 銀座のバーともいえる

その店主にご縁をいただいたここ数年、 

彼のこれからと私の今が

ちょうど良い接点を持って、 

その接着面が少しずつ

広がっていった感覚がある。 

極論すれば、

バーテンダーとしては王道と邪道。

もちろん邪道の私と

華々しい実績と地位を積み重ねてきた彼、 

彼が迷った頃に出会った。 

 

とことん語り尽くしたその内容は

「酒場でラジオ」を 聴いてもらうことにして、

 とにかく面白い内容になった。 

 かねてから、自分の言葉を持つ男という印象だった。 

 いざ、公共の電波に乗るということになった今回は、 

 いかにインディペンデントメディアとはいえ、

 責任が生ずる。 

 そこで発するやり直しのきかない

 言葉のひとつひとつ、 

 彼は惑うことなく淀みなくしっかりと、

 重みを増して発した。 

 とても学びと気付きの多い時間になった。 

 

 その帰り道、銀座の街を歩きながら考えた。 

 日本一の繁華街と考えて、志して、

 出てきて、はや二十年。 

 まだまだっ、という声が聞こえてきそうなものの…、 

 この二十年が、長く、短く、ありがたく、

 感慨深いものがある。 

 

 前のめりで銀座に立ち向かっていた三十代、 

 じっくりたっぷり、酸いも甘いも、

 苦いも体感した四十代、 

 銀座の真ん中で

 日本を代表する企業とコトを成し遂げた五十代前半、

https://www.kuriiwastyle.com/blog/2022/03/25/100000

そして今、還暦を目前に街に感謝し

敬意を表するこれから。 

 

最後の銀座の仕事として、

使命というか私の役割を果たしたい。 

青赤黄色、深い深い黒と白、

たくさんの彩りがあって、 

月と太陽、静と動、

陰と陽を兼ね備えた街、銀座。 

この街で最後のカタチと良い時間を創り上げたい。 

ただ、ど真ん中はしんどいから、

すこし外れて、かな。 

などと考えながら、その日の酒場に向かう。 

真正面に太陽の光と熱を受け止めながら、

また歩いた。 

日付けが変わった深夜零時、 

お互いにそれぞれの酒場の役割りを終えた帰路ですれ違った。 

スイッチが切れた素のままに

明るすぎる深夜の街角で出会った。 

ひと言だけ言葉を交わしてその日を終えた。 

なかなか面白い十六夜の一日になった。 

 あ、そういえば月と酒の話もしたっけ。 

さ、明日も酒番、明後日も酒番。 

 

令和五年 月と銀座と酒と人 

 

栗岩稔