2023/05/24 17:00
そもそも我々、動物、生き物として結婚って?
栗: ところで、生物学的に見ると結婚って種の保存じゃないですか。今の季節はメジロがツガイでいたり、カラスが共同で巣作りをしていたり。でも季節が過ぎると別れて、また時期が来たらツガイになって、みたいな。そんなことを見ていると、そもそも結婚って何だっけって思うんですよ。そう言いながら自分は結婚しているけど。生物学に携わる人たちはどう見ているんですかね?
K:どの研究者に聞いてもなんとも答えが難しいと思いますが、例えば今、単細胞生物の研究をしているのですが、なんとも羨ましいなと思ったりしますね。だって、個人が分裂して増えていくんですよ。ただ、デメリットとしては環境の変化についていけない時には死滅するっていうことですね。そういう意味では、ツガイでペアを変えていくっていうことは、新しい遺伝子を発生させていくということだと思うんですよ。人間の場合、とても変わっているのは、変化することを前提としているから、誓約させて取り決めをさせて、変化しませんよ、ということを強制する。そういうところは、何とも異常だなって思ったりしますね。
制度、システム上の結婚
YU: 僕は今、結婚しないなりに考えていることがあって。法制上の結婚システムって人間が考えた社会を管理するシステムなんだなって。国にとって都合が良いから結婚というシステムがあるんだろうと。だいぶ穿った見方をしてしまうけれど、そう見えちゃうんですよね。
W: 僕が思うのは、子孫を残すということは、結婚とはまた別の話しだと思っていて。結婚の制度は社会的なシステム、仕組み。社会があるから結婚という概念が生まれるんだと思うんですよ。子孫を残すということであれば、そのしがらみを無くしたほうが種族として繁栄するじゃないですか。時代や国によって違いはありますけど、今の日本では一夫一妻制になっていますよね。その夫婦に所属している財産をどう管理するのかというところと密接につながっていると思っていて。だから、ひとつの家に属す財産をどう分けていくんだという相続制度に結びつきますよね。そういう税制上の問題が結構関係してきますよね、結婚って。誰か好きな人と一緒にいる、強い結びつきをつける、というのもありますけど、それだったら一緒にいれば良いんじゃないですか。それで充分じゃないかなって、僕は思う。それを踏み越えて婚姻制度を交わすというのは、財産上の管理をしたいんだろうなって思います。
栗: アメリカは結婚する時に事細かな契約書を取り交わすといいますよね。財産分与の割合とか、離婚する際のあれやこれや、とか。日本はないのかな?
W: 日本では特に定められてはいないですね。したければどうぞ、ぐらいな。任意的なものなんじゃないですかね。
YU: 契約書がないから色々なもめごとになったり、拗れたりするんですね、きっと。
S: よく聞く話しですけど、離婚って結婚するより3倍大変だって。
Y: 3倍どころじゃないですよ。財産分与がどうこうではなくて。結局お互いの思惑のぶつかり合いなんで、どっちが引くか引かないか、そんな感じですね。
T: どっちが悪いかを決めたりするっていうこと?
Y: そりゃそうですよ。だから離婚するんじゃないですかね。もちろん、勝ち負けをつけるつけないかは相手によると思いますが。
栗: ちなみに、これは経験談だけと…。慰謝料の額って定められた額はなくて、判例や事例のなかから概算して平均した額が一年につき百万円で、それに年数をかけた額が慰謝料ですね。どちらが払うかは、そこが勝ち負けみたいになってしまっていて。その婚姻を解消するための法制度ですよね。話し合いで終わることもあるけど。定められた書類は求められるし、保証人を書いたり。
Y: 法廷では調停人に会うんですよ。その人が客観的に見てくれるから、その人を通して相手のことを改めて知ることになるんですよ。それまで気づかなかった良さに気づいたり。そこは興味深いことでしたね。
YU: やっぱりそういう争い事の仲裁には調停する人が必要なんだなって気がつきますね。
Y: そこじゃないですかね。今もみなさんの話しきいているだけで学ぶことが多いじゃないですか。Wさんの言っていた社会の仕組みのなかで生きていたら起き得ない問題が起こる、そこが人生の面白さなんかなって。
YU: 目に見える問題は起こさないように生きてきたし、結婚についても、リスクやデメリットを考えてしまうので、もし相手が出てきたら相当考えると思いますね。デメリットが上回って面倒臭さを感じたら結婚しないですね。ただ、それでも何かパッションを受けたり、相手に何かを感じたりしたら、その時は違うんでしょうけど。
T: 何も契約という形をとらなくてはならない、というわけではないから。パートナーとしてでもいいわけだし。
S: 社会の中でもっとパートナーという形が受け入れらていけば良いと思うけど、子供がいる場合にはそうもいかないのかな。ただ実際に子育ては面白いし、子供って育てたようにしか育たないし、勝手に育たないから。あ、こんなところは私だな、ここは夫だなとか。こればっかりは育ててみないとわからないからね。
栗: DNA的な話しだと髪質とか足の形とかそっくりだからね、うちは。これが種の保存か、みたいな。血を感じるよね。
異性、同性、生物、人間。
Y: パートナーという考え方から、Kさんにお聞きしたいですけど、一般的になってきた同性愛は生き物の世界にはあるんですか?
K: 生物の同性同士っていうことですよね。異性だと間違えてアプローチすることはあるんですよ。ただ人間のようなことはないですね。長らく暮らしてから気づいたりすることはあっても。でも気づいた瞬間に
少し呆然とするらしいです。人間と違って一生が短いので、一分一秒を無駄に出来ないので。だから、その瞬間にヘコむんでしょうね、きっと。
栗: でも何で間違えるんだろう。匂いとかフェロモンみたいなものが出てますよね。
K: 色々な要因があるみたいです、環境とか。例えば、山の環境が匂いを消してしまったり、水浴びで消えたりとか。匂いで判断していたものが出来なくなるのは、環境に影響を受けるようです。ただ、この話しは霊長類のことなので、相手の雰囲気で引き寄せられることもあるかもしれないですね。
Y: そうやって考えていくと人間って、古くは殿様なんかだと、奥さんはいっぱいいるけれど、男娼も抱えていたこともあるし、子供は家のため一族のためにつくるけど、それはそれでまた別の話し、みたいなこ時代がありましたよね。そういうところが人間の怖いところでもあるし、ただそれを理性が抑えてみたいな。動物はそうもいかないじゃないですか、理性的なものは。
栗: 霊長類って四足動物とかと違って家族のような群れで暮らすじゃないですか、人間の家族みたいに。
その時にメスの匂いが移ったり混じったりするっていうことなのかな。
K: 霊長類以外の動物でもあるみたいですよ、間違えることは。ただ、近づいたら喰われたりとか、アプローチしたら敵同士だったりとか。昆虫は交尾が終わったら喰われたり。
栗: カマキリのオスってかわいそうだよね。終わったら喰われるんだから。
CK: 蜂の世界では、巣を母が子に家を開け渡して、子の新しい家になるんですよ。子供のために母が出ていくっていう、蜂の巣の引っ越し。蜂の家族の良い話しかな。
YU: 生物の世界では例外なく、人間みたいにずっと一緒っていうのはないんですか?子孫を残したら別れて、喰われたり。多様性を確保したら次、みたいな。
CK: オウムやインコはずっと添い遂げるって言いますよね。
K: 全体を見ていくとコストを考えて、どうやって安全に楽に子供を育てるのか、そういう感じですね。オスは死のリスクが高かったり、喰われたり…。利用されている感はありますね。圧倒的にメスのほうが強いんですね。
S: 人間でもそうかもしれないですね。
YU: どこか女性には勝てないっていう感覚を受けることはありますよね。
S: 聞いた話しでは、昔は男の子のほうが身体が弱いから、男らしくしなさいとか、女の子を守りなさいとか、強くなれるように育てていたって。実際、女の子のほうがやっぱり強いと思うし。
YU: 肉体的にもそうかもしれないですけど、魂というか精神的にも男は女に勝てないなって。跪くというか。喜怒哀楽の場面でも女性に味方することが多いじゃないですか。勝てないというか、同じ土俵に立てないというか。そう思うんですよね。
栗: アメリカから始まった、#MeToo運動の時、しばらくしてから、俺たちだって、みたいな男の運動が起きたよね。そんな時代なんだな、今って。