2023/05/24 16:56
既婚、未婚、半分ずつではじまった今回の「栗岩稔と人間学」
第四回のテーマは「結婚って必要ですか?」。
生物学的な観点からもお話しをいただきたく、
今回は生物学者のKさんにもご参加いただきました。
栗岩(以下、栗) まずは結婚をされている方から、話を聞いていきましょうか。はじめに先日結婚28年を迎えたSさんからお願いします。
結婚生活を続けるってどういうこと? まずは既婚者に根掘り葉掘り。
○個人事業で設計士のSさん(以下S)
恐ろしいことですよね。気づいたら28年っていう感じです。関係性も変わってきているので、ほとんど同居人、みたいな。でも、他人と暮らすことは良いことだと思いますよ。嫌なこともあるけど、続いているということから言うと、悪い結婚ではなかったのかなって。これからも別れる予定はないし。特に子供が独立してからの関係性が変わりましたね、お父さん、お母さんから。今はお互いに干渉せずに連絡報告だけはしながら、あえて、たまに一緒に食事に外に出るとか、そういう感じ。
○ITコンサルティング会社勤務のYUさん(以下YU)
素晴らしい!結婚しないスタンスをとっている身からすると、誰かと暮らすということが、そもそも無理だなって思っていました。しかも両親、祖父母が密接な関係の中で育ってきているので。今の話しを聞いて、もう少しドライな関係であれば、やっていけるんだろうなって思ったので、思わず素晴らしい!って。
○自然由来の食を通して健康美容を提案しているCKさん(以下CK)
私は結婚して20年ですね。私も気づいたら、という感じで…。子供はいないので関係性はあまり変わっていないんですけど。長く続いた秘訣は旦那さんがマメだということですかね。生活に協力的なところに助けられている部分があって、だから、仕事も出来ているのかなって思いますね。一緒に帰って、一緒に食事して、みたいな。これまで、あまり喧嘩もせずにきましたね。
○ITベンチャー企業勤務のFさん(以下K)
協力的というのは、家事とかを手伝ってくれるってことですか?
CK: 生活の中でこだわるところって夫婦それぞれで違っていて。夫がこだわりたいところは自らやってくれるから任せちゃってます。やっぱり結婚って生活なので、だいぶ助かってますね。
S: 私の場合は全部一人でしたね。ワンオペ、みたいな。子育ても引っ越しも一人。相手に期待しないことを学び続けた28年間でしたね。
F: 我慢できないこととかなかったんですか?
S: もともと人に期待するタイプじゃなかったみたいで、無かったですね。
○小学校教諭のCUさん(以下CU)
私は結婚14年目なんですが、私の場合、同居人とも言えないかもしれない…。一緒に暮らしたのは、結婚してから3年ぐらいしかないんです。今も地方にいるし。転勤のある会社員なので、付き合い始めた時も一週間で転勤が決まって、離れたまま結婚してそのまま新婚生活。だから同居人ではない夫婦ですね。子供もいないし。正直、戻ってきて二人になったらどうなるのかなっていうところはありますね。
YU: 年末年始、お盆とかはどうしてたんですか?
CU: この前のお正月に久しぶりに会ったぐらいですね。特にコロナの期間中は、私の職場の規制が厳しかったから、特に。2.3年ぶりでしたね。
○企業勤務から生物学者へ転身したKさん(以下K)
K:僕は5年目ですね。結婚するまで3年ぐらい付き合っていて、自分が今の研究者の道に決めた時に、
「今の方が良いんじゃない。生き生きしていて。」って言ってくれて。その時に信頼できるようになって、この人だなって思えたんですけど。ただ最近少し変わってきているところもあって…。
一緒に暮らしていると、だんだん色々なことが見えてくるんですよ、良くも悪くもなんですけど。特にコロナの期間はずっと一緒だったから、「あれ?」ということが増えてきた。でも、これが結婚なんやなって。今はそんな感じですね。
S: お子さんは?
K: 今ちょうど考えていて。ようやく仕事が安定してきている今からですね。
栗:あと、既婚者は?あ、自分か、2回目だけど。今、Kさんが近くにいて見えてきたことって言っていたじゃないですか。自分も店を閉めてから家にいることが増えて、その時には結構いろんなことが見えてきて、疲れたこともあったかな。
YU: 例えばどんなことですか?
栗: きれい好きなんだけど、その視点が違ったり、洗濯物の干し方が気になったり。あ、こうだったんだ。みたいな感じかな。嫌ということではなくて。自分が結婚を決めた理由が恋愛が先ではなくて、一緒に店を立ち上げをして、忙しすぎるまま仕事をしていた間柄で戦友みたいな関係だったんですよ。お互いに離れて再会した時に、空いていた穴が埋まったというか。この人だったら無様な姿や死に顔を見せられるなって思えて。
死に水をとるというかね。それでですね。今は子供が社会に出るまでの責任を終えたら別々に暮らすのもありだなって。お互いの親がいるから、その責任はあるけれど、生活の仕方が別々であれば、無理に一緒にいなくても良いんじゃないかなって考えてますね。最近ようやく、それに気づいて、これからの結婚というか夫婦のカタチが見えた感じ。じゃあ、次はバツイチ組で。
結婚は面倒なもの? 僕らが結婚しない訳。
○銀座のバーのオーナーバーテンダーのYさん(以下Y)
はい、僕はバツイチです。離婚に関しては微塵の後悔もありませんよ。結婚生活はというと、4年間だったかな。子供が一人いて、今は2.3か月に一度会いに行ってますけどね。結婚している当初は気に入らないことがあると、それで喧嘩してたんですよ。干渉しすぎない方が良いって頭ではわかっていたんですけどね…。
ま、結婚というものがあわなかったんですね、きっと。だから、これからどうなるのかなって思いますね。離れてから、子供を介してですけど。
YU: 会いに行く時はお子さんだけにですか?
Y: そうなんですけどね。毎回必ず元妻が何故か現れるんですよ。偶然通りかかったり。
栗: 自分は一度も会ってないな、連絡先も知らないし。
Y: 分かれるみたいですよね、離婚してから会う、会わないは。
○GOTTA STUDIO 主宰のTさん(以下T)
でも、もう二度と結婚しないとか、そういうことではないですよね?
Y: 当面はいいかなって感じですね。ただ、これもご縁なので、わからないですけどね。皆さんの話しを、聞いていると勉強になりますね。そういうカタチもあるんやなって。
栗: そうね。うちは一日中必要なこと以外会話をしないこともしょっちゅう。喧嘩しているとかではなくて、気にならないというか、干渉しないかな、普段は。そろそろ、バツイチのおじさんの話しはこれ位にして、
結婚をしない人の話しを聞いてみたいですね。
T: YUさんはポリシーがあるじゃないですか、色々としっかりした考えが。
YU: 僕はご縁がないというのもありますけど、プライベートエリアに他人がいることを許容出来ないんですよね。一緒に暮らしたくないというか。親がすごく干渉してくるタイプだったので、早くに家を出たくて、社会人になるとすぐに一人暮らしをはじめて。そこから一人の快適さを覚えちゃって。女性とお付き合いしたことももちろんあるんですけど、一緒に暮らしたことはないし。今は女性と、どうのこうのといのもないし、面倒臭いなっていうのもあるし。そもそも、今のところ興味がないですからね、結婚生活には。婚活もしたことないし、しようと思わないまま普通に生活してますね。ただ、同じ空間に存在出来る人がいたら暮らすかもしれないかな。
T: 結婚には面倒臭さがともなうっていうこと?
YU: そうですね。今は収入も上がって安定してますけど、若い頃の年収では、結婚して子供を持って養うなんて考えられなかったですからね。無理でしょ、みたいな。
Y: YUさんはもともと付き合うことにも関心がないから、その先にも進まないですよね。
YU: そうですね。今はほとんど考えないですね。論外というか、ですね。
F: 自分は結婚したいと思ってますね。思いますけど、もともと恋愛が得意でなくて、仕事ばっかりしてきたので、結婚は二の次、三の次にしてきたな、と。最近は少し落ち着いてきたから、何歳までにとかはないですけど、先を見据えて、そういう人を探そうかなと思ってますね。だから今、俗に言う遊びまくってますね。その中で良い人がいればなと思ってます。ただ結婚がゴールではないと思っているので、結婚しなくてもパートナーとして、結婚に拘らずに寄り添える人がいたら良いなと思うし。
T: Wさんはどうですか?
○司法試験突破に邁進するWさん(以下W)
僕は結婚願望がそもそもなくて。良い人がいたらっていうのもなくて。どちらかと言うと積極的にしたくないタイプですね。そういうことって、より濃い人間関係が生まれるわけじゃないですか。付き合っているだけじゃなくて、婚姻するということに対する面倒臭さを漠然と感じていて。結婚をしなければいけない必要性と比べると結婚に必要性を感じないなって。逆にお聞きしたいことがあって。結婚しているみなさんは、どのタイミングで決断したのかなっていうのは気になりますね。
結婚というカタチに向かう潮目とは?
T: 私は子供ができたからです。だから結婚というカタチを取ったほうがいいかなと。結婚そのものに必要性は感じていなかったかな。最終的に寄り添える存在がいれば結婚という契約をしなくても良いのかなって思っていました。
S: 私は時代的にまだ男女が平等でない時代に社会に出ているので、大学の同級生なんかも、24才ぐらいから早々に結婚し始めたこともあって、何となく雰囲気にのまれていったということはあるかな。たまたま付き合っている人がいたから、あまり深く考えずに結婚したかも。結婚休暇からヨーロッパ旅行にいける、みたいな。勢いと打算。あとはとても保守的な家だったから、束縛が強くて。そこから早く出たいというのもあったかな。若者の勢い。相手にしても、それまでに会ったことのないタイプだったのと、並走できるなと思えたし。
ご両親の姿を見て判断したところもあったかも、良いなって。
栗: 自分も義理のお母さんを見ていて素敵な人だなって。この人の子供だったら、と思えた。
CK: 私は仕事を始めた時に一人暮らしをしていて、その時に付き合いだして。結婚する前に一緒に暮らそうかっていうことになって、一年ぐらい暮らしたあとで、そろそろ結婚しなきゃいけない年齢になってきたかなっていう時に、周りもその頃にそんな風潮になってきたので。
同居してからの結婚だったけど、一緒に暮らしている時に嫌な感じがしなかったから。
というところが、今考えれば一番大きいですね。
CU: 私の場合は付き合って一週間で彼の転勤が決まったから、半年ぐらいで結婚したんですよ。転勤のこととかちゃんと聞かないまま付き合っていて、わからないままっていう感じで。今考えてもプロポーズのこととか覚えてないし、あったかな、みたいな。私自身が付き合った経験の少ないまま、あ、この人で良いかなって感じですね。私は主人と年齢差があって、義理の両親が高齢なんですけど、古くないというより新しい考え方をしてくれて。尊敬できるご両親だなって思えたところもありますね。
K: 僕はさっき言いましたけど、新たな道に踏み出したばかりで収入どころかどん底の生活の時に決めたんですよ。お互いにフリーで仕事をしていて、シンプルに戦友やなって。それでですね。
Y: 勢いでっていうこと?
K: そうですね。好みのタイプではなかったんですけど(苦笑)、ありのままいられるなって。
T: 年の差でいうと、私もだいぶ年が上の夫だから、最近は「俺が死んだら、ああして、こうして」って言ってますよ。
栗: 自分ももう書いてありますよ。もし葬式をやるんだったらこうとか、この曲とか。そういうところを任せられるっていうところもあったかな。
S: うちは同い年だけど看取るんだろうなって思ってるかな。
YU: 今、いくつか終活的な話が出たじゃないですか。結婚しない未婚側としては、そういう、緊急連絡先とかを書かなきゃいけない時に、どうなるんだろうなって思いますよ。でも結婚そのものが減っているからいずれ、そういうサービスや仕組みが出来るのかなって。
CK: もう実際にあるみたいですよ。コロナの時に知人が高齢の両親に迷惑をかけたくないって、突然死んだりしても、慌てさせないようにって、探したら、サービスがあって、そこに登録してお願いしたみたいです。
YU: もうあるんですね。実際に未婚や独り身の人たちは困るでしょうしね。
T: まぁ、結婚していても困ることは多いけどね。
〜中編に続きます〜