2023/02/28 10:00
人偏に動くで「働」。
人偏が追加されたのは明治時代からと
比較的新しく、
漢由来の漢字ではなく
国字として追加されたことから、
「働く」という今に至る概念は
この頃に生まれたのではと思われる。
そもそも、人偏が追加される前の「動」は、
止まっていたものが
急に動くことの意味を成していて、
鎌倉時代には「はたらく」意味を
持つようになったということらしい。
「はたらく」とは「はためく」と同様に
「はた」の擬態語だとか。
やはり、体を動かすことが働くことなのかと思うし、
体を動かして得られる対価が発生すれば
働を労う「労働」かと。
元来「働く」意味を持っていた「動」は、
止まっていたものが急に動くからで、
動かなければ、何も始まらず、
何も起こらず、対価も生まれない。
思考を深め、突き詰めていった
言葉なり生まれる事柄が
対価を得ることが出来れば、
それが労働になる。
この辺りのことは、
私が敬愛して止まない社会哲学者、
エリック・ホッファー氏の著書
「波止場日記 : 労働と思索」に 著されているので、
ご興味がある方はご一読いただきたく。
そうは言っても知識ばかりで頭でっかちになりすぎて、
いざ労働のなかでの人間関係の構築に
支障を来すようでは、
「智に働けば角が立つ」になりかねず、留意したく…。
とにもかくにも、
人間は一人きりで生きていけるはずもなく、
「働く」ことによって得た対価ではなく、
その縁を基に 成り立っていくこと、
それが人生なのだろうと…。
ようやく気付いた54才の春、
遅すぎた感も否めない、
地熱が上がり、陽が降り注ぎ、
桜の蕾が綻びだす頃。
ソメイヨシノは交配種であって、
人が動いて働いて、
生み出された遺伝子を同じくする美しいこの樹木。
人間を楽しませ、
酔わせる景色を後世に作り出し、
桜前線なる日本の春の風物詩でも楽しませる。
これらはすべて、染井村の先人たちが働いた結果だと。
でもやっぱり、花が先のソメイヨシノよりも、
白い花と緑の若葉のコントラストが美しい大島桜が好みだと。
そう思うこともまた、働いて、生きてきた結果かと。
あ、でも今この時は、寒桜を愛でますよ、はい。
「働かなきゃだめですか?」
ダメではないですけどね、働いたことで得る何か、
それが大切なことだと思いますよ、とても。
https://www.kuriiwastyle.com/blog/2023/01/21/174512
働かなくても生きていける方々には別の話しですが。
でも、「動く」という字の意味から考えれば、
日々、働いていますからね、きっと。
経済学的な「労働」は、 人間と自然の関係において、
その生産性に関わる過程のことを表し、
生産手段を持つことが出来なければ、
労働力を対価とする、らしく。
ジョン・レノンも謳っていましたね、
資本主義の生まれた国で、
Working Class Hero と。
相も変わらず支離滅裂、
試行錯誤の思考も楽し、な春に。
令和五年
冬の眠りから目を覚ましたい啓蟄を前に
栗岩稔