2023/01/24 10:00
小学5年生の1月、
禁止されていた学区外の長い石段の神社に
友だち3人と冒険に行った。
257段の石段を登りきり、皆で喜んだ。
運動神経抜群の彼は迂回路に回らずに、
ひとり石段を降りた。
あと少しのところで、彼は足を滑らせて落ちた。
子供だけで救急車を呼ぶために走り回った。
初めて救急車のサイレンを車内で聞いた。
翌朝、担任教師から亡くなったと聞かされた。
なりふり構わず泣き叫んだ。
あの日以来、人前で泣くことをやめた。
彼の分も生きていこうと心に決めた。
あの頃からは想像も出来なかった50才を過ぎた。
まだまだ、こんなんじゃダメだぞ、と言い聞かせながら、
どこかで、こんなんでも良いかな、とも思えるようになった。
先日、酒場で開催されたライヴで、
スナック歌謡を中心に演奏する試みをした。
村下孝蔵「初恋」、テレサ・テン「つぐない」などなど、
苦笑いするしかない思い出を音楽で振り返り、
酒を覚えてから30年以上という歳月を感じた。
参加した人々のなかからは、
30年前、20年前の恩師のことが話題に上り、
その傍らには、昨年出会った人、その日初めての人、
毎週顔を出してくれる人、すべてが共にする時間になった。
30代から70代までが揃い、語り、酒を飲む、
歳を重ねた人々の素敵な時間になった。
酒を覚えることなく人生を終えた彼のことを想いながら、
酒場ならではの良い時間に、
心温まる寒い日の週末の夜だった。
今週末からは、いよいよ本番となる「人間学」が始まる。
→ https://www.kuriiwastyle.com/blog/2023/01/21/174512
第1回目のテーマは「歳を重ねるって面白いですか?」
全世界の人々が一年という節目を迎えて歳を重ねた今、
それでもまだまだ、と発破をかける日々に、改めて問うてみる。
「歳を重ねるって面白いですか?」
「切なくて、苦しくて、面白い、です」
令和五年 大寒の頃に毎年心に誓うこと
栗岩稔