2023/01/22 10:00
人の変わらぬ情念が、歴史を繰り返す
下:歴史は…、やっぱり繰り返しますか…。
栗:繰り返しているじゃん? わかりやすいところでいうと、今のプーチン。彼はもともと、1989年のベルリンの壁崩壊の時は、KGBの所長だったんだよ。「ソ連はこのままでいいのか?」とエリツィンに取り入って、大統領にまでなり、今やあれだからね。人間の欲望は、絶対変わらないと思うんですよ。そこがどういう形で出てくるのかだけの話だと思っている。そういう意味では学べるよね、先行く人の心情は。三国志も、自分の置かれている立場で読み直したら、また違った学びがあると思う。
U:歴史は繰り返すといえば、20代から60代に向かって、人を束ねる役職になったり、既得権を持ってしまったりすると、自分がいる場所によって考え方や行動が変わってしまうことはあると思っていて。さっきの明治維新の話に戻ると、今の世の中でいいのかって革命をしたけど、革命が成功してトップに行ったら、結局また同じことを繰り返してしまう。それがなぜ起こるのかを考えると、座ってしまったらそこを守りたくなってしまう…、とかなのかな。歴史の出来事も構造を理解すると、自分の立場に置き換えて考えやすくなるかもしれないですね。
栗:でも、例えば、プーチンもそうだけど、自分がトップで居続けたいために、憲法の内容を変えられるところまでいっちゃえばすごいよね。そこまで突き抜けちゃえばすげえなって思うんだけど、でも、やっぱり人の情念って絶対変わらないと思うんですよ。概念は変わると思うよ、時代とともに。でも情念は、根っこの部分で、さほど変わらないでしょっていうことは、どこかで学んでいるかもしれない。うらみつらみって変わんないじゃん?と思っている、自分はね。
I:日本人は果たして変わってきましたか?という問題をちょっと投げかけてみたいんですけど、戦時中の死ぬのも辞さずと思っていた時と今は違うという話もあるし、作られた仕組みの中で生きるのと、作ってきた人との差がある。でも、日本人としての根本って変わってきたんでしょうかね、どうなんでしょう。
U:個人的に思っているのは、ピュアな状態が変わっているかはわからないですけど、教育とか、洗脳みたいなものは、今はないんだろうなと。戦時中の、国と個が一体になるって、ある種カルト的な洗脳がないと無理じゃないですか。一方で、戦争とほぼ無縁な現代においては、国や組織に忠誠を誓うみたいなことは、あんまりないのかなと。連帯意識とかは、そういうのが好きな人は染まっていくと思うけれど、生き死にがかかっていない分、俺はそういう服従は嫌だからって思う人は自分から跳ね除けられるし。だから二極化しているんじゃないかなって思いますね。
F:人の根本は変わらないと思いますけど、縛られるものが、世の中の背景とか、属している会社とか、その環境によって差はありますよね。現代社会においては、そういうしがらみがなくなっているから、個の考えや意見がものすごく尊重されるような時代になっていますよね。
栗:今の日本って、個を大事にするっていう前提で、自分のいる集団を守っているんですよ。だから、パワハラとかガバナンスを遵守しますよ、だから大丈夫でしょという守りに入っている気がして、個人個人はすごく抑圧されている気がする。がんじがらめにした上で、「わかった?」って言って、情報を投げつけられて。根っこの部分では変わってないと思うんだけれども、感覚のところは逆に洗脳されているんじゃないかな。古来日本って稲作信仰じゃないですか。稲作信仰で、米取れたわーい!酒飲んでわーい!とやっていたのが、西暦というものを取り入れ、時間という軸を取り入れたときに、どこかで変わったと思うんだよね。現代は、実はどこかで抑圧されて洗脳されているのに、それに気がついていない人が多いんじゃないかな。
「栗岩稔と人間学」 information
<日程&テーマ>
開催時間:1月〜6月最終土曜日 各回とも13:00〜15:00
参加費:¥3,000(美味しい珈琲付き)
場所:GOTTA STUDIO KUDANSHITA
東京都千代田区九段南2-2-8松岡九段ビル201
第一回 1月28日(土)
歳を重ねるって面白いですか?
第二回 2月25日(土)
人生に過去問は必要ですか?
第三回 3月25日(土)
働かなきゃだめですか?
第四回 4月29日(土)
結婚って必要ですか?
第五回 5月27日(土)
認められる大人ってなんですか?
第六回 6月24日(土)
幸せってなんですか?
※老若男女問わず、人数に上限は定めませんが、参加申し込みのお問い合わせは
mineosha@icloud.com(竹田)までお願いします。