2023/01/22 10:15

考えることをやめたとき人間は

 

T:人はなぜ、常識にとらわれるかというと、きっと、それが楽だからなのかも。二分法で正解を選んだほうが安心だし。例えば、結婚式の時にはお祝儀がいくらだとか。好きなようにしたらいいのに、何円って一般的な基準を持っておいたほうが楽だよね、物事を理解しやすいし、判断しなくていいし。

 

栗:だから、考えることを面倒くさがる人が多くない?

 

I:私は京都出身なんですけど、なんかすごいんですよ、ルール化が生活を楽にしているというか。

 

T:京都が都だったからかな。

 

I:常識ハズレって思われて、村八分にされたくないという意識が強かったというか。年末とかお正月とかにご挨拶に来た人に、頭を畳すれすれまで下げて、今年もわにゃわにゃって言ってるんですよ、でも聞き取れないんですよ(笑)。子どもの頃、そんな大人たちがものすごく嫌だった。ある時代の人にとって生きやすいように作られたルールは、その時はよかったけれど、今は形骸化していて、中身はよくわかんなくなっているみたいな。でもいまだに遵守したがる傾向はありますよね。

 

T:統制が取りやすくなりますよね。支配しやすくなる。支配されている楽を好む人はいいけれど、それが嫌なのであれば、「考える」ということが必要になってきますよね。

 

下:今は、社会や制度に疑問を持たなくても生きていけるじゃないですか。だから少し危険な思想かもしれないですけど、一回、国が破壊されるような大きい地震が起きて、世の中が滅茶苦茶になって欲しいと思うんですよね。そうなった時に、自分の力で生きていける人ってどれくらいいるんだろうって。例えば、もし地震が起きて日常生活が送れなくなったとして、今の日本人は、道徳や倫理に遵って罪を犯さずに生きていけると思いますか?

 

栗:ううん、思わない。

 

U:罪を犯さないとね、糧を得られない、多分ね。崩壊してしまって、家主が死んでいる家とかあったら根城にもするだろうし、盗みもするだろうしね。

 

栗:新神戸の震災も、東北の震災も、日本人の行動が世界的に評価されるっていうのは、あれは周りの目があるからだよ。裏っ側じゃひどかったじゃん。だって、関東大震災の時だって、虐殺してるからね。在日韓国人のことを、殴り殺しにしてるんだよ。

 

U:人間は基本的に、陰険だから。

 

T:だから、どさくさにあらわれるよね、人間性が。

 

I:自分の名前が特定されないところで、日本人はすごく冷たいなっていう気がするんですよね。人としてのあるべきが、西洋と比べると宗教観の違いなのか、ちょっと冷たい感じはありますよね。そういうことを考えたら、国が破壊されたら恐ろしいですよね。

 

下:いつか、アメリカとかにまた取られちゃうんじゃないかって思ったりします。

 

栗:もうほぼ取られてるじゃん。

 

T:中国にも、ですよね。

 

栗:もともと中国を中心にしたグループだからね、この辺は。みんなそこも忘れてるんだよ。

 

拠りどころは自分の中にしかない

 

T:歴史をいつ学ぶかっていう話だけど、私は不安な時ほど学びたいなって思う。コロナが2020年に入ってきて、その時に人々の混乱を感じたんだよね。戦時中に似ているんじゃないかと思って、私は突然、半藤一利の「昭和史」を読み始めた。そこで、感じたのは、いい意味で諦めるということ。学んだから行動しようとかではなくて、仕方ないという感じで安心したかったのかも。

 

栗:ちなみに自分はコロナ禍でも、酒場を開け続けていました。震災の時もそうだけど、売上はもちろんだけど、営業して開けとかなきゃ、この先、人間が駄目になると思って。緊急事態で営業しちゃいけない風潮がありましたけどね。だからあえて、震災時も、コロナの時も、その話題を口にしなかった。

 

U:世間が騒がしくなったときに、あんまり騒がずに普通でいられる栗岩さんのbarがあったのは、僕にとって大きかったですよ。

 

T:自分の中に軸があるひとは強いよね。

 

下:拠りどころなんて自分にしかないですもんね。

 

T:ない。そう、外にはない。自分の中にしかない。たとえ一個欠けても他の軸があるという確信がないと、これから先はすごく怖いなって思う。だから、何個かあるといいよね。

 

U:僕は特に、これだ!っていう仕事に巡り合ったわけでもないし、軸って別にないなって思っていたけど、いま考えてみれば、料理好きだし、装うの好きだし、あと自分勝手に生きているし。ここにいる人たち、アクの強い人しかいませんもんね(笑)。Eさんなんて、控えめに見えても、掘り起こしたら一番、大木すぎてわかんないみたいな。ちなみに今日の集まりって、こんな感じの議論でいいんでしたっけ?

 

K:一年かけて肩肘貼らずに話をしながら、人間について考える場にしたいと思っていたから、今日はすごくいい時間でした。こういう時間ってどんどん失われていくと思うんだよね。自分も一緒に学びたいし、伝えられることは伝えたいので。だから、栗岩稔じゃなくて、栗岩稔なんですよ。


「栗岩稔と人間学」 information

<日程&テーマ>

開催時間:1月〜6月最終土曜日 各回とも13:0015:00

参加費:¥3,000(美味しい珈琲付き)

場所:GOTTA STUDIO KUDANSHITA

東京都千代田区九段南2-2-8松岡九段ビル201

 

第一回 128日(土)

歳を重ねるって面白いですか?

 

第二回 225日(土)

人生に過去問は必要ですか?

 

第三回 325日(土) 

働かなきゃだめですか?

 

第四回 429日(土) 

結婚って必要ですか?

 

第五回 527日(土) 

認められる大人ってなんですか?

 

第六回 624日(土) 

幸せってなんですか?

 

※老若男女問わず、人数に上限は定めませんが、参加申し込みのお問い合わせは

mineosha@icloud.com(竹田)までお願いします。