2023/01/10 10:00
成人の日を迎えた。
世代的にはどうしても1月15日の印象が強い。
小正月となるこの日に「元服の儀」を行っていたことから、
戦後間もなく、埼玉県の町の青年部が若者のために、
青年祭を開催したことからその歴史が始まった成人式。
今では法律上の成人が18才になり、その日付は変わったが、
祝いの日であることには間違いなく、
その華やいだ景色がこの時節の風物詩となり、
嬉しさを覚える。
そんな祝いの日を迎えようとする年明け初の酒場に、
3年ぶりの再会となる男性が訪ねて来てくれた。
海辺の町の酒場で20年前に出会った彼が、
「いやー、今日銀座でウイスキーを飲んでいたら、
ふと思い出したので、今どうしているかなと探したら、
今日はここだとわかったので来ちゃいました」
「ありがとうございます。いやー、嬉しいですね」
「そりゃ、そうですよ。あの頃に栗岩さんから学んだことが
たくさんありましたからね。酒もジャズもその他も……」
「いやいや、こちらこそ、ですよ。20年も前ですね、あれから」
決してカウンターに座ることなく
過ごしていた彼の立ち姿。
あの頃の酒場の景色を思い出しながら
終えたやさしい時間。
久しぶりに、しっかりジャズを聴きながら一日を終えた。
翌日の夜明け前、
いつものラジオから流れ出る、
ジョン・コルトレーン。
ジャズの巨人と言われながらも、
若くして世を去った彼の音。
ちんぷんかんぷんだった20代、
わかったふりの30代。
わかろうとしていた40代、
身体全体に染み渡る今50代。
歳を重ねるって面白いですよ、ホントに。
成人の日というものを迎えた私のあの時を思い出す。
すでに服飾関連の仕事に就いていたあの日、
仕事の合間に会場となる市民会館に駆けつける。
懐かしい顔ぶれに記憶が揺り起こされたその時、
「はーい、そこの付き添いの男性は、
会場の外に出てくださーい!」
あきらかにこちらに届けられた拡声器の声。
まぁね、そりゃスーツの仕事をしていますからね、はい。
着なれていますよ、それが仕事だから。
今日だって仕事だから、
チョークストライプの
グレイフランネルのスリーピーススーツなんですよ。
まぁ、会場内では浮いているんでしょうね。
だからって、付き添いって……。
私も二十歳ですよ、二十歳。
令和五年 令和五年 酒もタバコも若葉マークのみなさまへ。
枯れ方を追求し続ける、栗岩稔より。