2022/09/20 10:00

ポール・チェンバースのウッドベースが静かに響き、幕が上がる。

そして、それぞれのメンバーが静かに主張するようなソロ演奏、 

最後にバンドリーダーの

マイルス・デイビスのトランペットが冷たく響く。 

 

マイルス・デイビス、ビル・エヴァンス、

ウィントン・ケリー、ジョン・コルトレーン、 

キャノンボール・アダレイ、ジミー・コブ、

ポール・チェンバース。 

個性の強いメンバーが織り成す集団即興演奏。 

1959年に発表された

このアルバムが全世界で1000万枚のセールスを記録し、 

60年以上経た今でも売れ続けている。 

 

土着的要素が強かったジャズにブルースや

西洋音楽の要素を取り入れ、 

新しい音楽のカタチを世に知らしめた、

ある意味到達点とも言える音の世界。 

多重録音など一切せず、たった2日。

6つの楽器で創り上げられた音源に、

タイトルとメンバーの名前以外、

余計なことを語らないダークブルーの色調のジャケット。 

そのアルバムの名前は「Kind of Blue」。

 

若い頃、今ではもうない銀座のジャズ喫茶に行った。 

昼時にマスターとサラリーマン風の男性が

ひとりスピーカー前で俯く。 

足音も立てずに席に着き、 

煮詰まった濃い珈琲をいただく。 

もちろんリクエスト禁止、物音禁止、

コーヒーカップを置く時も要注意。

 

その空間に流れてきたベースソロで静かに幕が上がるクールな音楽。 

まだ何も知らないその頃、思わず声に出して聞いた。 

マスターが黙って見せてくれたダークブルーの色調のジャケット。 

Miles Davis/Kind of Blue1曲目のタイトルは「So What」。 

初めてジャズに心が震えたあの瞬間。 

しかも、そのタイトルは「So What」。

社会に出る前からずっと感じてきた、

反抗心、反骨心、だから何?という想い。 

この全てが表現されたひと言「So What」。

心が震えたその時、自分で何か事を起こす時には

So What」にしようと決めた。 

 

それから20年後、

銀座旧木挽町路地裏に作った酒場 「bar sowhat」。

https://www.kuriiwastyle.com/items/59516337

それから10年後、

世に溢れるクラフトジンに問いかけた酒「Kind of Blue

https://www.kuriiwastyle.com/items/62326860

ある年齢から、

ジャズミュージシャンにさえ言われた「ジャズおじさん」も来年55才 。

私のJazzと私のGin、これ以上のお話しはお目にかかった時にでも

https://www.kuriiwastyle.com/blog/2022/07/05/101259

写真のようにJAZZ LIFE なのかな、などと徒然と。 

 

 

令和四年 JazzGinJazzおじさんが秋分の頃に 

 

栗岩稔