2022/06/14 10:00

そもそものジンを紐解くと

広がるさまざまな物語

 

ジェームスボンドのマティーニ、

フィリップマーロウのギムレット

ジンのカクテルは物語にも欠かせない

 

代表的銘柄の中でも

ゴードンジンを「黄色い奴」と呼び愛飲した

作家アーネストヘミングウェイのジントニック

キーウェストにあるヘミングウェイハウスには

当時のライオンラベルのゴードンジンが

展示されていたはずだが、今は定かではない

 

それぞれに物語を持つジンのカクテル

中でも、ジンとライムとソーダで作るジンリッキーは

身近な酒だし思い入れが深い

自分のために酒を作ることはあまりないが、

ジンリッキーは時折自分のために作り楽しむ

もちろん、外でも飲むし、飲みたくなる酒、ジンリッキー

言うなれば、町の中華料理屋のチャーハンのように

 

以前、対談させていだいた永野さんにとって

ジンリッキーは「バロメーター」

https://www.kuriiwastyle.com/p/00001

その日の体調を含めた自分確認のための酒で

真正面から向き合っていた

 

作り手である自分にとっても「バロメーター」

作る時の季候、飲む人の状態、飲む時間、ひとりか否か

それぞれ判断し、反応し

目の前の酒に向き合いながら作り出す

もちろん、他の酒すべてにそうであるが、

特にジンリッキーはごまかしが効かない

 

前に書いた、ロンドンのジントニックのように

https://www.kuriiwastyle.com/blog/2022/03/08/074322

さまざまな街のバーにそれぞれのジンの体感がある

 

ニューヨークマンハッタン、

グラマシーパークホテルのロビー左手の

小さなバーカウンター

フジモリ大統領の頃だった

ペルーからの移民の男が

「日本人はペルー人と友達、ね」と

言いながら作るぬるいマティーニ

 

マンハッタンに慣れたつもりで訪れた

プラザホテルのバー「オーク」

カウンターに通されると思いきや

入口近くのテーブル席に通され

アジア人を感じながら独り飲み干す、

水っぽいジントニック

 

それなりになった頃に再訪した

プラザホテルのバー「オーク」

ポケットには、葉巻とマッチとシガーカッター

何も言わずに通された内心ドキドキのメインカウンター

至福の時を味わったあの時のリベンジ、ドライマティーニ

今にして思えば、酒に酔うより、

そこにいる自分に酔っていた赤面のあの頃

 

そういえば、コレクションシーズン真っ只中のミラノ、

街外れのホテルのバーカウンター

賑わいの街から逃れ、頼んだつもりのドライマティーニ

サービス満点の笑顔で出されたドライヴェルモット

片言の外国語同士のコミュニケーションで生まれたその時の楽しい酒

華やかな街の帰りに思い出す

ジンとイタリアのヴェルモットで作るカクテル「GIN & IT

そこに目を付けたMARTINI社が

自社のヴェルモットのキャンペーンに考案したカクテル

その名前がマティーニ、英語表記はMartini 

そんな説もあったような、ないような

 

 

それぞれの街や人にたくさんの歴史と物語がある酒

中でもとりわけ思い入れの強い酒、ジン

思い入れが強いからこそ「そもそも、ジンって?」から生まれた私のジン

あれこれ混ぜず、あれこれ足さず、杜松の実だけで私のジン

ジュニパーベリーたくさんの私のジン

https://www.kuriiwastyle.com/items/62326860

 

令和四年 瑞々しい緑色の季節に

栗岩稔